研究概要 |
平成19年度には本研究に関して臨床研究と基礎研究を施行した。臨床研究では、非小細胞肺癌治療に関する以下の二つの多施設臨床試験を開始した。1)未治療進行非小細胞肺癌患者におけるPaclitaxelとCarboplatinに対するニトログリセリン併用/非併用療法に関す多施設無作為化第II相比較臨床試験(TRILC0702)、2)3rdライン既治療非小細胞肺癌症例に対する塩酸アムルビシン・ニトログリセリン併用療法の第II相単群臨床試験(KUOPLC0701)。ともに、臨床試験実施計画書作成、臨床試験研究グループ形成(京都大学、東北大学、東京慈恵会医科大学、順天堂大学、昭和大学、国立がんセンター東病院、信州大学、滋賀医科大学、大阪北野病院、熊本大学、台湾大学)、データセンター開設(前者は財団法人臨床研究情報センター(TRI)、後者は京都大学医学部探索医療センター検証部)臨床試験参加各施設における倫理委員会承認、臨床試験開始前事前試験登録(前者:米国国立がん研究施設NCI-PDQ臨床試験登録ID:NCT00616031、後者:UMIN臨床試験登録ID:UMIN000000813)、キックオフ・ミーティング開催を経て、前者は平成20年1月4日から後者は平成19年9月1日から症例登録を開始している。更に前者においては、Electronic Data Capturing SystemをTRIと共同開発し、全国多施設から24時間体制で症例登録、治療群無作為化割り付け、CRF登録をインターネットで行うことを可能とした。 基礎研究では、マウス担癌モデルマウスを作製し、ニトログリセリン併用化学療法の効果と作用機序を検討中である。一酸化窒素は腫瘍組織内のHIF-1α,P-glycoprotein, VEGF, P-Akt, P-CREBの抑制を介して抗癌剤の感受性を改善することが示唆されている。
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