研究概要 |
糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病は、終局的には虚血性心疾患や脳卒中などの動脈硬化疾患や失明、透析などの糖尿病性合併症を生じて、日本人のQOLおよび生命予後を著しく悪化させており、その管理予防が現代社会における危急の課題である そこで、本研究では脂肪細胞分化の新たな分子機構を明らかにすることで肥満をはじめとする生活習慣病の分子機構に対するTFE3の機能を明らかにすることを目的とした。 TFE3は肝臓においてインスリン感受性を改善し、生活習慣病を改善する効果がある(Nakagawa YNat. Med 2006)。エネルギー代謝臓器の一つである骨格筋および脂肪における機能を検討を行っている。脂肪モデル細胞である3T3-L1細胞にTFE3を過剰発現させることで脂肪細胞への分化が抑制された。一方、RNAiを用い、 TFE3をノックダウンすることで脂肪細胞の分化は促進された。その際の遺伝子発現も脂肪細胞分化の指標となるPPARgamma, aP2は細胞の形態と相関し、 TFE3では増加、RNAiでは抑制された。脂肪細胞の分化の経路にTFE3が関与する。脂肪特異的TFE3発現マウスを作成し、解析を行っている。骨格筋では骨格筋特異的TFE3発現マウスを作成したところ、筋肉内のグリコーゲン合成能の上昇が観察されており、TFE3が骨格筋内のグルコース代謝への関与が推測され、詳細な検討を行っている。
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