研究課題
皮膚は様々な外的刺激に対して、Th1, Th2, Th17型免疫反応や、免疫寛容などの様々な免疫応答を誘導することのできる免疫臓器の一つである。ところが、皮膚における免疫応答の多様性を決定する因子については不明な点が多い。そこで、外的刺激に対する免役応答に関与する分子の同定とその役割の解明が当研究の目的である。申請者らは、フィラグリン遺伝子変異flaky tailマウスを用いたアトピー性皮膚炎モデルマウスを新たに確立し(Moniaga et al. Am J Pathol in press)、新規候補化合物の効果判定や発症機序の解明を行うための基盤づくりを行った。また、皮膚免疫と全身免疫のクロストークの可能性を検証するためKaedeマウスを用いて皮膚免疫細胞の動態の評価を可能にし、皮膚からリンパ節に再度回帰するリンパ球集団を同定し、さらに皮膚免疫における制御的役割を解明した(Honda et al JCI in press)。また、二光子励起顕微鏡を用いた免疫細胞の可視化を行い皮膚における樹状細胞や丁細胞の動態、皮膚への浸潤機構の解明を進めている。また、近年、皮膚を構成する樹状細胞サブセットの皮膚免疫多様性形成における役割の重要性が再認識されつつあるが、我々は、接触皮膚炎誘導に必須なサブセットの同定(Honda et al. JACI in press)、紫外線照射による免疫抑制誘導にランゲルハンス細胞が必須であることを見出し、ランゲルハンス細胞が皮膚の各種環境下に応じて正と負の両方向性に免疫誘導を行う能力があることを示した。以上のように、皮膚免疫応答の多様性獲得の機序において新たな知見を見出し、さらに、皮膚免疫と全身免疫のクロストークの可能性を示唆する所見を得た。
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