研究概要 |
本研究の目的は,血圧反射モデリング手法を駆使しロボット工学的設計手法を応用して,微細径の形状記憶合金線維(バイオメタル)と現在開発中のナノセンサを駆使して心筋の機能と血行動態を探知し,制御工学に基づいて補助循環の必要性(パッシィブ/アクティブ)を計算する右図の超小型の埋込型マイクロ人工心筋を開発することにある.これは生体の血液循環系にとって"必要なときに必要なだけ"心臓の血液拍出を補助するもので,心臓の外面に設置されるため血栓の形成等の心配もない.このような血行動態を自動で判断し,必要な心マッサージを施すというような完全埋込型の高機能超小型人工心筋は申請者らの考案した装置以外になく,心筋虚血部位などを的確に補助しつつ心臓全体の機能を維持するという発想は内外にない.本年度は,共有結合性-金属結晶性ナノテク形状記憶合金(バイオメタル:100MPaのオーダで収縮力を発生し,直径数μmまで加工可能な線材)を基盤アクチュエータとするロボティクス人工心筋の至適制御によって体内埋込可能なコントローラのプロトタイプ(コントローラ部寸法: W: 45mm xD: 35mm x H: 13mm)を設計開発した.人工心筋収縮機構の開発プロセスでは人工心筋の生体との整合性の高い構造の検討を進め,生体心室壁のwall-thickening effectを模擬した機械要素を新たに開発した.また,ラピッドペーシングによる成山羊心不全モデルの作成を試み,術後4週間での低心拍出条件の再現に成功した.今後,マイクロ圧力センサとの統合による生体と協調する制御法のシミュレーションと,心不全を模擬した条件下での-ケ月以上の慢性実験による循環動態評価に挑戦する.
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