研究概要 |
論理積項を排他的論理和で結んだESOP展開について, 簡単化・最小化の研究が古くからなされており, 優れたヒューリスティックなアルゴリズムが数多く存在する。研究代表者は、ESOPが適用できるような, 安全な計算のための暗号プロトコルを既に開発している。一方, 昨年度において, 多値2入力論理関数について, ブール行列の階段化を実行することと, ESOP表現を簡単化することとの関連性を見出している。本年度は, 昨年度において得られている知見を活かし, ESOP表現の最小化を実現する多項式時間アルゴリズムを開発することに成功した。計算時間や通信量といった暗号プロトコルの効率性は, ESOP表現の積項数に依存するので, この開発したESOP表現の最小化アルゴリズムにより, 効率的な安全計算プロトコルが得られることが期待される。この成果については, 2009年5月に開催される国際会議Theory and Applications of Models of Computationでの発表と, Lecture Notes in Computer Scienceの5532巻への掲載が決まっている。また, 回路設計理論の基本的な演算である排他的論理和の別な応用として, 他人数のプレーヤー間での安全な情報共有プロトコルが存在するが, この問題の改良に取り組み, 1ラウンドで終了するような, 非インタラクティブなプロトコルの開発に成功した。この成果については, 論文誌Information Processing Lettersに掲載されることが決定している。さらに, 情報機器の安全のための回路にかかわる基礎的な電磁界測定と数値計算を行った。
|