本研究課題における当初の研究実施計画どおり、情報理論的に安全性が保証される認証・署名関連技術、および、情報理論的に安全性が保証されるステガノグラフィ(Steganography)の理論研究に関して、十分な研究成果が得られた。これら研究成果は、国内外で既に発表を行っている。 まず、情報理論的に安全性が保証される認証・署名関連技術に関する理論研究の成果としては、ブラインド認証・署名、(ビット)コミットメント、Revocable Authentication Codeに関して、新しい研究成果が得られた。特に、ブラインド認証・署名に関して情報理論的安全性の立場から論じた論文は、我々の論文が初めてであり、(ビット)コミットメントについては、従来よりも効率的もしくは汎用性のある構成方法を提案することができた。これらの研究成果については、今後、更に完成度を高め、査読有の論文誌に投稿することを計画している。 次に、情報理論的に安全性が保証されるステガノグラフィに関する理論研究の成果としては、能動的攻撃を行う政撃者に対して、情報理論的立場から安全性が保証されるステガノグラフィのモデル、安全性の概念とその定式化、構成法について新しい研究成果が得られた。この成果は、2008年6月に出版されるIEEE Transactions on Information Theoryの論文誌において掲載される予定である。この論文において、情報理論的に安全なステガノグラフィに関して、最も強い安全性の定式化を初めて示し、またそのような強い安全性をもつステガノグラフィを実際に構成可能であることを示している。 上記の成果により、情報理論的に安全性が保証される情報セキュリティ技術の発展に貢献できたと考えている。今後は、実用性も含めて、これらの成果を更に発展させる計画である。
|