本研究では、大規模連立一次方程式に対する実用的かつ高品質な精度保証付き数値計算法の開発を目的としている。具体的には、連立一次方程式が与えられたとき、係数行列の正則性を保証し、計算機上で解いて得られた数値解の厳密解に対する誤差の上限を、高速かつ厳密に計算する精度保証付き数値計算法の理論とアルゴリズムを開発することである。 具体的には、下記の3つを目的とする。 (1) 密行列については、特に悪条件な問題でも可能な限り高速に精度保証が実行できるようなアルゴリズムを開発する。 (2) 疎行列については、一般的な疎行列を扱うのは非常に困難であるため、本研究では疎行列が持つ特殊な性質や構造を持つような問題に対して効率的なアルゴリズムを提案し、必要なメモリ量や計算量を低減した実用的な精度保証法を開発することを目標とする。 (3) 近年、応募者らが開発した高精度内積計算アルゴリズムと上記の精度保証法を融合し、精度保証自体の品質を向上させる方法も開発する。
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