ジョブスケジューリング問題ではあらかじめ情報が分かっているジョブ(オフラインジョブ)の研究に加えて、最近は前ぶれなくやってくるジョブ(オンラインジョブ)を考慮した研究が盛んになってきている。そのような研究においては、オンラインジョブについての情報を全く仮定しないのがほとんどである。しかしながら、現実には、オンラインジョブがいつ到着するか、その繁忙期の傾向が分かっている場合も多い。そこで本研究ではオンラインジョブの発生確率が既知であるとして、オフライン・オンライン混合ジョブスケジューリング問題を整数計画問題に定式化すると共に、ラグランジュ緩和法を使った高速な近似解法を提案する。整数計画問題は一般に計算時間が爆発するが、ラグランジュ緩和法を適用することにより、誤差は許すものの、実用的な時間でスケジュールを構築可能である。 ラグランジュ緩和法では緩和したい制約式にラグランジュ乗数を掛けたものを目的関数に取み、それを新たな目的関数とする緩和問題を作る。緩和問題の解は取り込んだ各制約式をみたすとは限らないので、その違反量が小さくなるようにラグランジュ乗数に調整を施したのち再び解を求めるという手順を反復する。その結果、制約式の充足と、元の目的関数の最小化(または最大化)を近似的に達成することができる。この中ではラグランジュ乗数の調整法が結果に大きな影響を及ぼす。本研究ではオンラインジョブの発生確率に着目した有効な調整法を開発した。実験により、例えばオフラインジョブ15個の例題に対して納期遅れ誤差が平均2%以下のスケジュールが得られることが分かった。
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