研究課題
多目的最適化問題とは、大きくしたい評価値を複数持つような問題であり、与えられた制約条件を満たす中で、なるべく多くの評価値を大きくする問題である。今回は、解がn次元ベクトルであり、評価値が線形、制約条件も線形である問題を考えた。解ベクトルの中で、制約条件を満たすような微細な変動をどのように加えても、必ずいずれかの評価値が悪くなってしまうようなものを極大解と定義する。制約条件を満たす解の集合は多面体を形成するが、極大解はその多面体の端点に対応する。この問題は古くから知られ研究が行われてきたが、完全に列挙する効率良い方法に関しては研究が少ない。今年度の研究では極大解の列挙問題に対して初めて出力数線形時間の逆探索アルゴリズムを開発した。また同時に、シンプルな解法ではNP困難問題に突き当たるため、多項式時間アルゴリズムは望めないことも合わせて示した。頻出集合とは、各項目がアイテムの集合であるデータベースの多くの項目に現れるアイテム集合である。アイテム集合の族は単調生を満たすため、極大解が自然に定義され、その列挙も盛んに研究されてきた。今回は現実問題の応用から、包含関係にあいまいさを導入し、頻出集合を拡張した疑似頻出集合の概念を導入した。疑似頻出集合も単調生を満たすため、極大解が自然に定義でき、既存の手法が直接的に利用できることを示した。また、ある程度の大きさの疑似頻出集合を直接的に見つけるアルゴリズムも提案した。また、ディスタンスヒエディタリーグラフという距離保存性を持つグラフクラスに対して、唯一的なコードを与えて同型生からくるゆらぎを排除する手法を考案し、同時にコードを列挙することでディスタンスヒエディタリーグラフを多項式時間で列挙するアルゴリズムを開発した。これは、頻出パターン発見における同グラフの利用を可能とし、同時に極大解の列挙も可能にした。
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Proceedings of ISAAC 2007, Lecture Notes in Computer Science 4835
ページ: 402-414
Lecture Notes in Computer Science (Proceedings of TAMC 2007) 4484
ページ: 115-127
ページ: 609-620