研究概要 |
昨年度に続き,多数のノードから構成されるネットワーク上の2つのノードに入力が分散して与えられている時に,その入力に依存する関数を計算するのに必要な通信量の下界を検討した.特に,多様な応用が期待できる対称論理関数を小さい誤り確率で計算する際に必要な通信量の下界を,ネットワークの形状を規定する数種のパラメータで特徴づけた.これは,2つのノードが直結している場合について知られている結果を,より一般的なネットワークを介して接続されている場合に拡張したものである.また,アプリケーションによっては,出力が誤ることは許容できないが,通信量や計算量は平均として少なければよいという場合がある.このような問題設定に対しても,関数を計算するための平均通信量の下界値を,入力が与えられる2つのノードが直結しているときに必要な平均通信量および、ネットワークの形状を規定する数種のパラメータで特徴づけることに成功した.上述の成果は,一般的なネットワークにおける通信量の下界を与える枠組みを提供するものであり,これに個々の関数に依存した情報を組み合わせることにより,具体的な通信量の下界が得られる.このため,通信量と深い関連を持つ質問計算量の観点から,様々な論理関数の複雑さを検討した.具体的には,論理関数の集合を,関数値を1にする割り当ての数によりグループわけを行い,グループごとに質問計算量の解析を行った.その結果,グループごとに,質問計算量は大きく異なることが明らかになった.これにより,具体的な関数の形を決めなくても,どのグループに含まれているかという情報だけで,おおまかな質問計算量を得ることができる.
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