研究概要 |
まず,オープンソース開発に関する基礎データの収集として,Apache Tomcat,Eclipse といった著名なオープンソースソフトウェアについて,その開発サイトから可能な限り多くのソースコードとその更新情報を取得した.この収集作業には,半自動化が不可欠であり,大学院生を作業補助員としてデータ収集ツールの開発も行った. 次に,収集したソースコードに対し, 1.コメント文の密度といった保守性に関わると考えられるメトリクスでの測定と統計解析, 2.更新情報の統計解析,という2種類の研究を並行して推進した. 1.に関しては,電子情報通信学会知能ソフトウェア工学研究会及びソフトウェア信頼性研究会にて成果発表を行い,現在,学術論文として国際会議へ投稿中である.現時点において,ソースコードにおけるコメント文記述の密度と頻度がコードの安定性に及ぼす影響を定量的に解析できつつあり,特に密度が40%程度を下回るものは安定性も低いという予測法を確立できつつある. 2.に関しては,電子情報通信学会知能ソフトウェア工学研究会及び情報処理学会ウインターワークショップにて成果発表を行い,現在は次の口頭発表に向けて準備を進めている.こちらに関しては,まだ十分な知見を見出すには至っていないが,ソースコードの更新間隔の分布にある程度の一般的性質が観測されており,今年度のさらなる研究材料となっている.
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