本研究課題では、ドメイン特化型言語(Domain Specific Language-以下DSL)を効率良く開発するための定式化およびフレームワーク設計を行う。本研究の特徴は、DSL言語処理系だけではなく、その運用に必要な言語指向エディタ、関連するドキュメン類などをすべて、言語仕様に基づく記述から統一的に自動生成することで開発、保守のゴスト軽減を目指すことにある。 本年度は、研究課題のうち次の3つを達成した。 1.DSL調査:SOARSシミュレーション言語(出口ら)および、コンパイラの覗き穴最適化自動生成のためのDSL言語(Granlundら)についての調査を行い、フレームワークに必要な要素についての考察を行った。 2.DSLのためのエディタ(DSLエディタ)の自動生成手法の開発:木の文法(tree grammar)に基づいた仕様記述からエディタを自動生成する手法を提案した。 3.属性文法による定式化と自動生成手法:上記のエディタの意味チェック部、および言語処理系(変換器、バックエンド)を属性文法による可読性の高い記述から自動生成する手法を確認した。 本年度の研究成果の意義、重要性は次の通りである。 1.木文法と属性文法に基づく言語仕様を基盤としたDSLの開発環境の可能性とその有効性を確認した。 2.DSL言語処理系およびDSLエディタは、ともに木文法と属性文法による言語仕様に基づいて自動生成することが可能であり、開発コスト削減、保守性向上が実硯できる。 3.DSLエディタは通常のようなテキスト形式ではなく、GUIによるウィザード形式でDSLプログラムを構成するものであり、プログラミングの知識を持たない人でもDSLを扱うことができる。
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