本研究課題では、ドメイン特化型言語 (Domain Specific Language- 以下DSL) を効率良く開発するための定式化およびフレームワーク設計を目的とした。本研究の特徴は、DSL言語処理系だけではなく、その運用に必要な言語指向エディタ、関運するドキュメント類などをすべて、言語仕様に基づく記述から統一的に自動生成することで開発、保守のコスト軽減を目指すことにある。 本年度は、昨年度の研究成果を踏まえて、下記課題を達成した。 1. DSLフレームワーク実現方法の研究と実装 : 木文法などの仕様記述を基盤としたフレームワークの研究および実装を行った。 2. DSLエディタの自動生成手法と実現手法の研究 : 木の文法 (tree grammar) に基づいた仕様記述からエディタを自動生成する定式化の研究を行い、エディタ自動生成システムのプロトタイプ実装を行った。 3. DSLの開発環境の異装lDSLの実例として、SOARSシミュレーションシステム (出口ら) の処理系、エディタ等の一部を実装した。 本年度の研究成果の意義、重要性は次の通りである。 1. 本フレームワークでは、木文法を基盤として仕様を記述する万法を採用しているが、その理論だけではなく、XMLやテンプレートエンジンなど既存技術を合わせた実装手法を明らかにしている。 2. GUIを用いた言語指向エディタの自動生成手法の定式化は、新規の研究である。この定式化に基づいたエディタを作成するための新たなDSLを開発し、システムを実装した。 3. 本実装では、ドキュメント生成システム、多言語対応のトランスレータの作成の研究と実装、またSOARSに特化したプログラムエディタの一部を作成した。フレームワークを用いた方法により、開発環境を効果的に実装できることを明らかにした。
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