研究概要 |
近年,頻発する自然災害に対する取り組みの1つとして被災地を忠実に再現できる災害救助シミュレータの実現がある.この災害救助シミュレータには被災地のシミュレーションを通して,自然災害による被害予測や,それに基づく被害対策などへの利用が期待されている.このシミュレータにおいては,適用する地域に応じて地図や災害救助エージェントの能力を自由に変更可能できなくてはならない.そのために本研究では「マルチエージェントシステムの協調行動と地図(環境)の関係の明確化」を目指す. 本年度は「(A)協調行動に関する論文のサーベイ」「(B)サッカーおよび災害救助シミュレーションにおける検証」「(C)協調行動の定義を用いたツールの設計と実装」を目的として研究を行った. その結果,協調行動に共通する特徴は「通信に基づいて複数のエージェントが問題解決を行う」ことであることがわかった(上述A).また,これに基づき,ロボカッププロジェクトのサッカーおよび災害救助シミュレーションの過去のログデータを分析し,競技の結果と分析結果について考察し,その相関性の強いデータをリアルタイムに表示するツールの設計と開発を行った(上述BおよびC).この成果については今後,ロボカップのコミュニティへ提供していく予定である. また,地図の構造解析ついても研究を行い,エージェントの行動と地図の特徴のいくつかが密接な関係にあることがわかった.その項目については対象となるエージェントに依存するが,エージェントを決定すればその項目に基づいてエージェントを評価できる可能性があることがわかった.
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