研究概要 |
本研究は,ソフトウェア部品間の利用関係の変化を定量化することで,ソフトウェア開発における更新履歴の中で重大な影響を与えた更新を抽出する手法に関する研究である。定量化においては,部品間の利用関係に基づいた順位であるコンポーネントランクを用いている。「研究実施計画」に基づき,本年度の研究実績の概要を示す。 1.提案手法に基づく評価システムの作成:評価対象となるプロジェクトの開発中の各段階のソースコードを取得し,各段階におけるコンポーネントランクを計算する仕組みを作成した。また,それらの解析結果を自動で集計し,各更新における利用関係変化度を計算するツールを作成した。 2.評価システムを用いた評価実験:実際のオープンソースプロジェクトに対して適用を行い,コンポーネントランクの変動が大きい更新が,大規模な更新,コア部品に対する更新,リファクタリングなどの更新であることを確認した。これらの更新の中にはコード変更量が少ない更新であるものも多かった。提案手法を用いた解析を用いることで,利用関係の変化という別の視点から更新の影響度の大きさを評価できることがわかった。今後,解析対象を限定した,より詳細な分析が必要であると考えられる。 3.研究成果の発表:研究成果を論文にまとめ,電子情報通信学会論文誌D-Iに投稿した結果,採録されることが決定した。掲載予定が2008年4月号であるため,研究発表としての成果報告は,平成20年度の報告書において行う。
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