研究概要 |
本研究は, ソフトウェア部品間の利用関係の変化を定量化することで, ソフトウェア開発における更新履歴の中で重大な影響を与えた更新を抽出する手法に関する研究である。定量化においては, 部品間の利用関係に基づいた順位であるコンポーネントランクを用いている。 本年度における研究成果としては, 研究成果を論文にまとめ, 電子情報通信学会論文誌D-Iに投稿した結果, 2008年4月号に採録された。また, 本研究の成果やこれまでの研究などをまとめる形で, ソフトウエアエンジニアリングシンポジウム2008において, 論文投稿および講演を行った。 「研究実施計画」に基づき, 本年度の研究実績の概要を示す。 ●ソフトウェア開発更新作業を題材としたコンポーネントランクの変動に関する調査 リファクタリング等のソフトウェア開発における開発作業を題材とし, その作業において行われる変更が部品グラフの上でどのような変更となって表れるのかを調査した。その結果, ソフトウェア部品の利用関係の変化が, 部品の統合や分割により大きく表れること, 部品グラフがスケールフリーな構造を持つグラフにおける性質と似たような性質を持つことを確認した。また, ソフトウェアの構造の良し悪しなどにより, コンポーネントランク計算時の評価値の分布が変わる場合もあることを確認した。現在, スケールフリーネットワークなどの研究を調査した上で, それらにおける手法を部品グラフに適用し, さらなる知見を得た上で, 論文化や国際会議などに投稿することを計画している。
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