研究概要 |
本研究は,ソフトウェア部品間の利用関係の変化を定量化することで,ソフトウェア開発における更新履歴の中で重大な影響を与えた更新を抽出する手法に関する研究である。定量化においては,部品間の利用関係に基づいた順位であるコンポーネントランクを用いている。 本年度における研究成果としては,今までの研究成果を踏まえ,内部でどのような変更が起こったかを利用関係に関連したメトリクスに基づいて調査を行った。実験においては,フレームワークとそれを利用したアプリケーションを題材として,バージョン間でフレームワークとアプリケーション間の利用関係がどのように変更されていくかを確認した。その結果,今までの事例と同様に大きな変更がある更新ではコンポーネントランクも大きく変動することを確認した。また開発を通じて他のクラスの利用を表す出力辺,他のクラスからの利用を表す入力辺ともに増加していくが,出力辺はある程度の大きさになった時点で複数のクラスに分解されるのに対して,入力辺はそのまま蓄積されていくなどの違いを確認できた。また,似た処理を実現するクラスはコンポーネントランク内で同じような順位変動を行うなど,いくつかの兆候を確認できた。 これらの結果をもとに,研究成果を国際会議(25th IEEE International Conference on Software Maintenance (ICSM2009))に投稿したところ採録され,2009年9月にカナダのバンクーバーにて発表を行った。この成果は,本研究課題に基づく研究をさらに発展させるための足がかりとなると思われる。
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