プログラムソースコードの品質を測定し評価する様々な手法が提案されているが、網羅性や再利用性を欠くといった問題を持ち、十分に活用されていない。そこで本研究では、C言語に代表される種々のプログラムソースコードを対象として、品質の測定と評価を網羅的かつ高精度に実施する再利用可能な枠組みの実現、ならびに、関連する技術の品質への影響を明らかとすることを目的とした。研究方法として、2007年度における品質測定評価スイート、評価基準導出ツール、集計・可視化ツールの実装、および、2008年度におけるスイート・ツール統合の試行、枠組み全体の評価・改善の着手、ノウハウの部分的なパターン化・再利用支援環境整備の着手を受けて、2009年度は全スイート・ツール成果の拡張性・利便性の高い形での統合、枠組み全体のパッケージ化と継続評価・改善、それらの活動におけるノウハウのさらなるパターン化と再利用支援環境の活用を通じた活動効率化と品質への影響評価、ならびに、関連技術としての受け入れテスト環境およびテスト網羅率測定環境との関係整理を実施した。特に、測定から評価基準導出・品質上の評価および結果の可視化までを全て自動化し長期にわたって実用的な形で実現した枠組みを、第三者が設置して利用可能な形にパッケージ化し、協力企業を通じた提供を開始している。パッケージ化にあたり、枠組み全体において利用者環境に応じて可変な部分と共通な部分を明確にし、可変な部分についてパラメータ設定等を通じた容易な変更を可能としている。さらに、協力関係にある企業の研究協力者が入手可能な現実のプログラム集合への適用実験により、枠組みがソースコードの品質を多面的かつ高精度に測定および評価可能なことを実証的に確認した。今後、提供する枠組みの利用結果を収集し、品質測定および評価精度の継続的な改善に役立てることを予定している。
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