研究概要 |
本年度は,主にイベント駆動型プロセッサアーキテクチャ,マルチコアプロセッサにおけるオペレーティングシステム(OS)について検討を行った. イベント駆動型プロセッサアーキテクチャに関する検討として,イベント駆動型プロセッサにおけるI/O処理手法についての検討を行った.I/O処理を割り込みベースで行った場合,多数のコアを持つノイマン型プロセッサ場合においてはどのコアで割り込み処理(OS実行)を行うのかという問題があるが,イベント駆動方式で割り込み処理を行った場合はノイマン型プロセッサにおける問題が生じない事を確認した.その検討結果を受け,イベント駆動型プロセッサではどの程度の処理内容が必要となるか試算を行い,ノイマン型プロセッサにおけるI/O処理に必要な処理量との比較検討を行った.処理量の比較検討により,イベント駆動方式を用いたI/O処理では,実行中のスレッド(タスク)を中断することなく実現することができ,タスク管理の面だけでなくタスク切り替え等を含んだ実行処理時間の点からも効率的である事を確認した.さらに,Fuceプロセッサにオペレーティングシステム向けタスク管理を追加するために必要となるスレッド管理機構を検討し,その設計を行った.また,今後のイベント駆動方式におけるタスク管理やI/O処理の性能評価を行う都合上,FPGA実験ボード上に評価プロセッサ環境を実装した方が都合がよいと考え,FuceプロセッサのFPGA実験ボード上への実装について検討を行った. マルチコアプロセッサにおけるOSに関する検討として,一般的なUNIX環境としてLinuxのカーネルソースコードを調査し,マルチコアプロセッサでどのようにOSを実現しているかについて調査を行い,マルチコア環境におけるOSの効率的な実行方法について検討を行った.OSを動作する環境として,コア数を自由に変更可能なプロセッサシミュレータについて調査し,実際にデータをとることに利用可能かどうか検討を行った.
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