研究概要 |
効率的な並列・分散処理を実現するためには,適切な資源管理に基づくタスク割当てが重要である.特に,計算資源を複数のユーザー間で共有する場合には,計算機の負荷変動やその影響によるタスク実行時間の変化を考慮する必要がある. そのために,本年度はリアルタイム長期負荷予測システムの開発を行った.プロセス検索法がオンデマンドに応答できるようにするための検討・改良を行い,それに基づく予測モジュールを実装した.必要な一定期間の過去の負荷履歴は,PackBitsコーディングによってメモリ上に全て格納することが可能であり,予測の要求から10ms程度の遅延で予測結果を返すことができる.負荷のサンプリング間隔が5分,予測期間は60分であるから,これは十分に高速であると言える.また,CPUを占有するタスクの終了に伴う急激な負荷変化に対応するために,タスク実行時間予測の改良を行った.これまで,メモリ使用量のようにタスク実行中に変化してしまう情報は,類似タスクを見つけるための情報として利用できていなかった.本研究では,各タスクのメモリ使用量の変動を利用するための方法を開発し,これによって予測精度が向上することが確認できた.また,複数のテンプレートを使って複数の予測を行い,予測の際に得られた類似タスク数と予測結果の信頼度から,予測結果を選択する手法を検討した.その結果,信頼度と共にニューラルネットワークを用いた選択手法が有効であるという知見を得た.さらに,変化する多数の資源を効率的かつ柔軟に管理するために,通信遅延を考慮した自律的な資源管理手法の開発を行った.
|