研究課題
平成19年度は、(1)自律分散ロボットのロバストな協調アルゴリズム、(2)分散合意問題に対する確率的故障モデルの導入とその上でのアルゴリズム、(3)P2Pシステムにおけるランダム化を利用したスケーラブルな検索手法、の3課題について研究を行い、成果を得た。以下それぞれについて詳細を述べる。(1)自立的に移動可能なロボット群は分散システムの一種と見なすことができる。個々のロボットは、周辺環壌を観測し、それに基づき自律的動作するが、センシングに対する物理的なノイズの影響等により、全ロボットで一貫した状況が観測できるとは限らない。本研究では、観測結果の非一貫性に対して耐性のある協調アルゴリズムを提案するとともに、非一貫性の度合いが協調問題の可解性に与える影響について考察を行った。(2)研究代表者が従来より取り組んでいた分散合意問題について、さらに発展的な研究を行った。分散合意筒題の性能評価では、故障が最悪の振る舞いをした場合の計算量(最悪時評価)によって評価されることが普通であったが、実際のシステムでそのような最悪時の振舞いが起こることはまれであり、必ずしも現実的な評価ではない。本研究では、確率的な故障振る舞いモデルを導入し、その上での効率的なアルゴリズムについて考察した。(3)大規模P2Pシステム上において、各計算機により分散管理されているリソースを低コストかつ高速に検索するアルゴリズムが強く求められている。検索を効率化するために、各計算機が自身の所有するリソースの一覧(インデクス情報)を周辺の計算機にあらかじめ散布する手法が存在するが、本研究では、ランダム化を用いた低通信コストのインデクス情報散布法、およびそれにもとづく探索アルゴリズムを提案し、計算機シミュレーション評価を行った。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)
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