研究概要 |
申請者らはこれまでに、秘密分散共有法の一種である(k, n)しきい値法を利用した秘密分散ストレージシステム(以下SSSS : Secret Sharing Storage System)を提案している。SSSSは(k, n)しきい値法を利用しているため、従来のネットワークストレージシステムに対して、よりネットワークやハードウェアの障害に強く、より秘密データの盗聴に強いなどの利点を有している。しかし、秘密分散共有法における符号化・復号化処理は多くの時間がかかり、その高速化が重要な課題の一つである。 これまでに、秘密分散共有法における符号化・復号化処理問題を定式化したシェア配送問題がNP困難であるという知見を得ている。また、シェア配送問題をスタイナー木問題に帰着させる方法を提案し、シェア配送問題をヒューリスティック手法により解くことを可能とした。 平成20年度においては、SSSSを用いた分散データベースの実現に向けて、脅威モデルに基づいてデータベースの基本的な動作要求に対する動作を設計した。秘密分散共有法を用いた分散認証局や耐故障性のある分散アルゴリズムを用いることにより、より秘匿性の高い分散データベースを実現することが出来た。また、ペトリネットを拡張したマルチエージェントネット(MAN)を用いて実装した。MANの実行環境を用いて設計したモデルの動作検証を行い、データ配送を含めた最適化が重要であることの知見を得た。
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