研究概要 |
申請者らはこれまでに、秘密分散共有法の一種である(k,n)しきい値法を利用した秘密分散ストレージシステム(以下SSSS : Secret Sharing Storage System)を提案している。SSSSは(k,n)しきい値法を利用しているため、従来のネットワークストレージシステムに対して、よりネットワークやハードウェアの障害に強く、より秘密データの盗聴に強いなどの利点を有している。しかし、秘密分散共有法における符号化・復号化処理は多くの時間がかかり、その高速化が重要な課題の一つである。 これまでに、秘密分散共有法における符号化・復号化処理問題を定式化したシェア配送問題がNP困難であるという知見を得ている。また、シェア配送問題をスタイナー木問題に帰着させる方法を提案し、シェア配送問題をヒューリスティック手法により解くことを可能とした。さらに、SSSSを用いた分散データベースの実現に向けて、脅威モデルに基づいてデータベースの基本的な動作要求に対する動作を設計し、プロトタイプの実装を行った。 平成21年度においては、秘密分散共有法を用いた分散データベースにおける分散クエリ最適化について検討を行った。クエリ処理効率化のための最適化問題を定式化し、発見的手法を提案した。また、計算機実験によって提案手法の有効性を示し、その結果を論文報告した。
|