研究概要 |
本研究の目的は,GPU(GraphicsProcessingUnit)を装備する多数のパソコンを一つの仮想的な高性能計算機GPUグリッドとして動作させるための資源管理手法を開発することである.さらに,京速計算を実現しうる計算基盤としてGPUグリッドの有用性を実用的な応用とともに示すことを目指している。 平成19年度は,計算資源の競合を低オーバヘッドで解決できる資源管理手法を開発した.開発した手法は,インターネットに接続するパソコン上でスクリーンセーバとして動作する.パソコンに対して一定時間に渡り入力がない場合,スクリーンセーバがビデオメモリの使用量を調べることによりGPUの稼動状況を推測する.この仕組みにより,パソコン所有者に対する外乱の小さい資源監視を実現した.また,遊休GPUを持つパソコンを検出し,それらを用いてグリッド計算を行うための分散並列システムを開発した。 具体的な応用としては,バイオデータベースに対して共通部分を探し出す配列アライメントの高速化に取り組んだ.CPU上で5時間を要するアライメントに対し,単体のGPUを用いておよそ1時間に短縮できた.このとき,計算の核となる部分の実効性能は47GFLOPSであり,これは8台のCPUに匹敵する.また,4台構成のGPUグリッドを用いてアライメントを並列実行した.この結果,日常業務に用いる計算機にGPUを1つずつ追加すれば,単体CPUを2台ほど専用し続ける場合と同等の性能を引き出せることが分かった
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