研究課題
Peer to Peer(P2P)システムでは、より多くのユーザが参加することにより、性能の飛躍的な向上が期待できる。しかしながら、資源を提供せずに利用するだけのユーザ(フリーライダー)が原因で、P2Pシステムが持つ潜在的な性能を十分に発揮できていないのが現状である。本研究課題の目的は、このフリーライダーに対処するために、ソーシャルネットワークに基づくP2Pシステムのための基盤ソフトウェアを確立することである。ソーシャルネットワークを活用しユーザの行動にある一定の責任を負わせることで、プリーライダーを抑止できると考えている。平成19年度に得た研究成果は以下の通りである。1. P2Pコンテンツ配信システムにおけるマッチメイキングの効率化を実現した。具体的には、P2Pネットワークに散在するコンテンツの断片を効率的および効果的に発見する機構を提案し、その有効性を示した。特にネットワークのコストを抑えながらコンテンツの断片を効率的に発見できるという特徴をもつ。この成果により本研究課題における基礎的なP2Pエンジンを確立することができた。2.従来までのP2Pシステムでは物理的な距離を意識してオーバーレイネットワークを構築することは困難であった。そこで、ノードの物理的な距離を考慮しながら、その距離に応じてオーバーレイネットワークを構築する手法を確立し、その手法の有効性を評価した。この成果は、ネットワーク上の物理的な距離だけにとどまらず、ソーシャルネットワーク上のユーザ間の距離などに利用することができ、ソーシャルネットワークを意識した効率的なP2Pネットワークを確立することができる。3. P2Pシステム上のノードの状態を効率的に監視できる手法を確立した。この手法はノードの変化を効率的に監視することができ、それら変化をイベントとして取り扱うことが可能である。この成果によりソーシャルネットワークの変化を捉えることが可能となり、ソーシャルネットワークのコンテキストを用いたP2Pシステムを構築することができる。
すべて 2008 2007
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Proc. Fifth Int'l Workshop on Databases, Informatio Systems and Peer-to-Peer Computing
Proc. Parallel and Distributed Computing and Networks