研究課題
Peer to Peer(P2P)システムでは、より多くのユーザが参加することにより、性能の飛躍的な向上が期待できる。しかしながら、資源を提供せずに利用するだけのユーザ(フリーライダー)が原因で、P2Pシステムが持つ潜在的な性能を十分に発揮できていないのが現状である。本研究課題の目的は、このフリーライダーに対処するために、ソーシャルネットワークに基づくP2Pシステムのための基盤ソフトウェアを確立することである。ソーシャルネットワークを活用しユーザの行動にある一定の責任を負わせることで、フリーライダーを抑止できると考えている。平成20年度に得た研究成果は以下の通りである。1. ソーシャルネットワーク構築に欠かせない属性検索技術を提案した。本提案方式では、P2P型の検索方式を採用し、その効率的な管理技術および分散的検索技術を実現する。特に、検索技術では、属性のAND検索に着目し、そのような高度な検索をP2P上で効率よく実現できるように工夫している。具体的には、リザルトキャッシュをP2PDHT(Distributed Hash Table)上に実現し、他のユーザの検索結果をうまく活用できるようにしている。また提案方式の評価を実施し、その有効性を明らかにした。結果から、検索に必要な通信量を60%削減できることを示した。2. P2Pネットワーク上でマルチメディアを利用したソーシャルネットワークを構築するために、いくつかのネットワーク技術を提案した。まず無線ネットワーク上でマルチメディア通信を効率的に実現するスケジューリング方式を提案した。提案方式では特にストリーミング系のメディアを対象としており、ソーシャルネットワーク構築の促進に貢献できると考えている。次に、無線ネットワーク上で端末間の同期を効率的に実現する方式を提案した。提案同期機構を利用することにより、複数のメディアを制御でき、ユーザ間のコミュニケーションを促進できると考えている。また、これら二つの方式の有効性を確認するために評価を実施した。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件)
IEICE Trans. on Fundamentals Vol.E91-A, No. 7
ページ: 1562-1569
IEICE Trans. on Information and Systems Vol.E91-D, No. 4
ページ: 1023-1031