研究概要 |
平成19年度は,脆弱性評価の基礎となるモデル開発と,モデルに基づいたデータ分類に関る研究を行った。具体的には,非同次ポアソン過程に基づいたモデルのブラッシュアップと,マルコフ到着過程に基づいた評価モデルの構築,およびWebより収集したウィルス感染データ(過去2年聞,116種類)のモデルへの適合度検定を行った.以下,それぞれの成果に関して述べる. 1非同次ポアソン逼程モデルでは,混合系分布に従う感染を想定し,そのようなデータに対応できるようにモデルの拡張を行った.数理的観点から見た拡張モデルの優位点は,モデルの表現力が格段に向上したことに加えて,モデル選択が混合比によって容易に行える点にある.これはデータの背後にある数理的な関係をモデルよって説明することを容易にする.拡張モデルのデータフィッティングに対してEMアルゴリズムを提案し,そのアルゴリズムおよび実際に観測したデータに拡張したモデルを適用した事例についてIEEEが主催するソフトウェア信頼性に関するトップクラスの国際会議International Symposium onSoftware Reliability Engineeringにて発表した. 2非同次ポアソン過程を超える枠組みとして,マルコフ到着過程の利用可能性を模索した.一般にウィルス感染データは日毎の感染数で与えられる(グループデータ)が,従来のフィッティン法はこのような形式のデータに対応していなかった.そこで,従来の曲アルゴリズムの改良を行い,グループデータへの対応を行った。また,マルコフ到着過程において最も汎用的なクラスであるマルコフ変調複合ボアソン過程の提案およびそのフィッティングアルゴリズム考案し,ACMが主催する国際会議で発表を行った。
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