研究概要 |
平成20年度は, 主として数理的なモデル化および統計手法の開発を行った. 平成19年度の成果をうけて, 非同次ポアソン過程モデルおよびより一般的な枠組みであるマルコフ到着過程を用いたウィルス増殖を予測・評価するための確率モデルを提案をした. 特に, ベイズ原理を用いた各モデルの推定手法の拡張, 扱えるデータ形式の拡張を行った. 具体的にマルコフ到着過程ではグループデータを効率的に扱うための推定手法を提案した. ベイズ推定の枠組みでは変分原理を適用した変分ベイズをもちいた推定アルゴリズムを構築した. これにより, 無情報事前情報の利用と同時に, 他のウィルス特徴量から推定される経験的な値をあつかう経験ベイズへの応用に展開することができる. 同時に, 多角的なウィルスデータ利用の可能性を有しており, 従来の無情報事前情報から大きく予測精度を向上することが期待される. 提案した手法(推定アルゴリズムおよび評価アルゴリズム)をC++言語により実装し, UNIX系OS上で利用可能なツールのプロトタイプを開発した. さらに, より大量のデータを高速にあつかうための工夫として平均場近似を援用した近似手法である一般化EMアルゴリズムの適用可能性について検討した. これにより, 膨大なビットパターンから統計的類似性を検出するアルゴリズムの基礎を構築した.
|