研究概要 |
オーバーレイネットワークのリンク構造を利用者の好みを反映させて進化的に形成する方法(インタラクティブ進化的ネットワーキング手法)を,ネットワーキングが主機能であるオーバーレイネットワーク上のシステムにおいて実行し,ネットワークリンク構造が変化することで,各システム利用者の主観的満足度が向上するかを検証すること,が最終目標である.この最終目標に向けた第一ステップとして,オーバレイネットワークの一種であるP2Pネットワーク上のファイル共有システムを対象として,インタラクティブ進化的ネットワーキングの考え方に沿った手法を考案し,考案手法をシミュレーションにより評価した.インタラクティブ進化的ネットワーキング手法では,全てのノード(N個)を含む複数のネットワークリンク構造(T個)を生成し,それらがどの瞬間にも並存しており,それらの今の状況への適応度(評価値)が,実際に利用者に利用されながら測られる.本年度の取組みでは,利用者の主観的な満足度モデルは検討していないが,多くのP2Pノード(=利用者)の検索性能が向上するようにネットワークリンク構造を変化させることを目的に,具体的に次の4点について決定した:1)可能なネットワークリンク構造(探索空間),2)ファイル検索方法(クエリ伝搬手法),3)ネットワークリンク構造の評価値の測り方,4)評価値に基づいたネットワークリンク構造の進化的形成方法.シミュレーションの結果,状況によって,多くのノード(利用者)にとって検索性能の高いネットワークリンク構造を進化的に形成できることを示した.
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