研究概要 |
よりMANETに適した分散アルゴリズムの設計として,「安全に収束する」自己安定分散アルゴリズムの研究をおこなった.通常の自己安定分散アルゴリズムでは収束するまでに故障やトポロジーの変化が起こってしまうと,そこから新たに計算を始めることになる.つまり,頻繁に起こる変化には対応し切れる保証がないというのが現実である.そこで,故障が起こった後の任意の状況から,短時間で解の質を問わない安全な状況に遷移させ,そこからは安全性を崩さずに最適な解に収束させるという「安全な収束」を実装する事にした.扱った問題としては最小弱連結支配集合問題であり,最適な解として近似比5を保証するアルゴリズムの設計をおこなった.弱連結支配集合問題は連結支配集合問題を解決する糸口となる問題でもあるが,今回は安全な収束を目指したため,連結支配集合問題の解決までには至らなかった.今後は最小連結支配集合問題を解く安全に収束する自己安定分散アルゴリズムの設計を行う.安全な収束を考えなかった場合でも,近似比の良いもの,悪いものをそれぞれ設計し,計算時間や性質を比較することも引き続き考えている. また,分散システムにとって重要な問題の1つといえる相互排除問題の1種で,グループ相互排除問題がある.グループ相互排除問題はライブコンサートのマルチキャストなどの実用的なアプリケーションの応用が考えられる問題である.そこで,今回はコーラムシステムを用いたアルゴリズムの提案を行った.今後はこのアルゴリズムの自己安定化も考えている.
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