研究概要 |
本年(平成19年)度は主に,IEEE802.11a/b/gおよびIEEE802.15.4bの混在した無線ヘテロジニアスネットワークにおける非対称マルチキャスト通信の分析を行った。従来のMulticast On-demand Distance VectorやDistance Vector Multicast Routing Protocol,Core-Assisted Mesh Protocolなど多くのマルチキャスト通信プロトコルは,主に同種の通信ノードからなる無線ネットワーク向けに提案されており,無線ヘテロジニアスネットワークに適用するのには以下に挙げる無線ヘテロジニアスネットワークの3つ特徴が障害となっている。 ・トポロジーの変化が予測不可能なアドホック環境 ・非常に多様な終端装置 ・通信リンクの非対称性 そこで,本年度本研究において,無線ヘテロジニアス環境向けの非対称マルチキャストプロトコルを考案し,マルチプル・ユニキャストプロトコルと比較した数学的な基本評価を行った。提案プロトコルは,無線メッシュネットワークのTBR(Tree-Based Routing)に付随して動作する。結果は,電子情報通信学会のアドホックネットワーク研究会(2008年3月5-6日,横須賀にて開催)で『無線メッシュネットワークにおけるツリーベース経路制御プロトコルを活用したマルチキャスト』と題して技術報告を行い,提案するトランクマルチキャストは,クライアントが20ノードの時で,75%の径路制御オーバヘッドを削減することを明らかにした。来年(平成20年)度は,非対称マルチキャストの具体的な事例を無線ヘテロジニアスネットワークのシミュレーション上に設定し,提案プロトコルを評価し改良を進める。さらに,非対称リンクを構成する実機によるプラットフォーム構築を開始する。
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