本年(平成20年)度は主に、無線メッシュネットワーク(IEEE802.11a/g)とセンサネットワーク(IEEE802.15.4b)から構成される無線ヘテロジニアスネットワークにおいて、異種ネットワークのノードが混在するノード間のリンクをたどってパケットをマルチホップさせることにより、1対多のマルチキャスト通信を行う際に、非対称な経路を許容して最適な経路を選択し伝送する方式の提案とテストベッドの構築による動作確認を行った。 前年度において考案した無線ヘテロジニアス環境向けの非対称マルチキャストプロトコルを、本年度はさらに分析・改良を進めた。MAC層において、従来用いられていたロードキャストパケットを、今回、ユニキャストの繰り返しに置き換え、さらにネットワーク層のTree-Based Routingのマルチキャストプロトコルも手順の見直しによりさらにオーバヘッドの低減を図った。シミュレーションによる評価を実施した結果、MAC層での改良によるパケット到達率の大幅な向上とオーバヘッドの低減により、高パケット到達率のトラフィック収容量を数倍に高めることを確認し、結果を電子情報通信学会のアドホックネットワーク研究会(2008年7月24-25日開催)にて技術報告を行った。また本年度は、シミュレーションをNICTの研究資産であるQualNetを利用して実施した。シミュレーションに際しては、テストベッドの設計時のパラメータを設定して解析的評価を行った。 現在、無線ユニバーサルメッシュルータにZigBeeノードを1台接続し、数個のZigBeeを含むセンサネットワークの構成でテストベッドの構築を進めている。平成21年4月に完成し、解析的評価を進める予定である。実装に際しては、ネットワーク層のプログラミングに自ら作業に携わり、評価用トラフィックの設定を随時行っている。
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