具体的内容:具体的内容:平成19年度には、磁場における磁性流体のスパイク現象を立体のメディアアート作品に応用した「磁性流体彫刻」に関し、作品に用いた直流電磁石の設計法と、コンピュータによる磁性流体の制御手法(ソフトウエアアーキテクチャ)を中心に論文にまとめ発表した。また、連続的に変化する磁場(0〜2000(G))における磁性流体(Ferrotec社製exp.01063)のスパイク現象を観察する実験を行い、飽和磁化一定の条件で実験環境の温度を変えながら、スパイクの大きさ、揮発性等を計測した。実験において得られたデータを整理し、磁性流体のスパイク現象に関する先行研究と照らし合わせながら、磁性流体のCGモデルに導入すべきパラメータを検討した。さらに、より一般的な流体CGの手法によって磁性流体を表現できるかに関して検討を進めた。 意義:液体でありながら強磁性を保ち、磁場の中で位置を保持できる液体素材は、磁性流体が唯一のものである。重力、磁力、表面張力のバランスによって、磁性流体のスパイクは形作られる。スパイクの間隔は磁力には因らず、表面張力と重力によって決定されることが知られている。これらの挙動をモデル化することにより、これまでほとんど研究されてこなかったCGのための磁性流体モデルを構築可能である。 重要性:本研究は、目に見えない磁力の現象の可視化として、CGによる磁性流体表現によるダイナミックな手法を提案し、それを用いた芸術表現を開拓する。新たなコンテンツ分野を切り開くと同時に、科学教育にも寄与できると考えられる。
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