研究概要 |
まず, 昨年度構築したモーションキャプチャデータベースを整理し, 長尺データの動作単位への切り出しと, XMLデータ形式への変換作業を行った. 次に, それらのデータベースを利用し, 複数のテニス競技者の運動の差異を解析するシステムを構築した. その過程で, 複数の類似動作に共通する主成分を高階特異値分解法(テンソル近似法)によって抽出するアルゴリズムを開発した. これを応用することで, 多重解像度制御を導入した動作補間法を開発し, 従来法と比較して高速にCGアニメーションを生成できることを確認した. また, 複数の運動データの差異を2次元マップ上に可視化する技法を開発している. この技術では, 身体の複数部位が示す連動関係を解析し, その差異を反映した2次元マップ上で動作データのクラスタリングを行う. マップ作成方法としては, 多次元尺度構成法のほかに, いくつかの手法を比較検討している. 最後に, 抽出した運動成分を直観的な方法で別のモーションキャプチャデータに反映させるための編集インターフェイスを開発した. このシステムでは, 人体の運動波形を直接操作するのではなく, 2次元タイムライン上に表示されたキーフレーム姿勢へのペイントやマウスドラッグによって, 運動の視覚的な特徴量を操作する. 具体的には, タイムラインの伸縮による運動のタイミング編集や, 2次元アイコンのドラッグ, ドロップ操作による運動特徴量のコピーなどの機能を作成した. このプロトタイプインターフェイスをユーザビリティテストによって評価した結果, 本研究で対象とする用途におけるアニメーション編集効率を向上できることを確認した.
|