アプリケーションレイヤーマルチキャスト(ALM)方式を用いたプロトコルの設計・実装支援を目標とした、プラットフォームの提案・開発を行った。まず、現実的なALMアプリケーションとしては数人〜十数人からなるチャット、電子ビデオ会議、数百人〜数万人からなるファイル交換、インターネットゲーム、マルチメディア配信、遠隔講義システムが挙げられる。これらのALMアプリケーションの特性に基づき、多くの異なるALMプロトコルが考案されている。まず、文献を調査を行い、既存のALMプロトコルにおけるデータ配信トポロジ、および、制御方式に基づく分類と、それらプロトコルで実行する基本的なオペレーション、そのために必要となる情報を調査した。提案ミドルウェアはこれらの性質を分類し、幅広い汎用性を実現するように設計した。多くのプロトコルで必要とされる共通の機能を洗い出し、ライブラリの設計をを行った。また、(1)スループットや遅延測定機能、(2)アプリケーションのデバッグ機能や、(3)遠隔操作機能、(4)トポロジ表示機能等も提供することで、ALMアプリケーションの開発が容易になるだけではなく、実際に稼働した時の性能計測なども容易に行えるようデバッグ環境を整え、作成したALMアプリケーションの実証試験を容易に行うための環境もあわせて構築した。ここでは世界中に配置されているサーバからなるPlanetLab上での実験を支援する機能を、我々の研究グループが開発しているP2P環境用デバッガを拡張することで実現した。また、提案システムは、広く使われるようwebサイトにて公開しており、既に世界中のいくつかの研究機関などで使用もされている。
|