研究概要 |
様々な4次元空間の提示コンテンツを制作し,人間と4次元空間とのインタラクションから4次元情報の直感的な理解を実現する.提示コンテンツとして空間と時間を合わせた時空を実装し,4次元時空間での効果について確認した.3次元物体の運動や変形の例示から,3次元空間で困難な時間を含めた4次元情報および世界線の観察を実現しただけでなく,3次元空間内の速度といったベクトル量の視認を容易にした.システムの有効性を明確にするために,ユーザテストを実施した.フライトシミュレータと同様のユーザインタフェースで4次元空間を見通しよく観察でき,提示コンテンツとのインタラクションが直感的に可能であることを示した. 数学分野では,関数や幾何の教育に2次元あるいは3次元のグラフを用いるが,複素数学,極値解析等では3次元以上のデータを対象とする場合がある.いくつかの複素関数や3次元ガウシアン関数を提示コンテンツとして可視化し,複素平面の写像の様子,2次関数の実数解および虚数解の視認,極値や等値面の生成等,数学的な高次元情報の様々な理解が可能であることを確認した. 人間と4次元空間とのインタラクションを向上させるために,4次元クリッピング処理に4次元物体に接触するための判定を追加するとともに,4次元物体同士の様々な幾何判定(接触,干渉,交差等)を行うための処理を実装した.システムの幾何演算は,一貫して5次元同次処理で構築しているため,幾何判定においてもこの立場は変えず,5×5行列・行列式演算によるアルゴリズムになっている.以上のように,様々な提示コンテンツとのインタラクションから提案システムの有効性を示した.また,4次元物体同士がインタラクションするための枠組みを完成させた.現在,ユーザと4次元物体だけでなく,複数の4次元物体を用いた提示コンテンツを開発している
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