研究概要 |
様々な4次元空間の提示コンテンツを制作し, 人間と4次元空間とのインタラクションから4次元データの直感的な理解を実現する. 昨年度, 数学的な高次元情報等のコンテンツを制作し, 目的に応じた様々な理解および認知が可能であることを確認した. 本年度, この研究成果をまとめ, 日本図学会2008年度大会で発表を行った. この発表で提案手法の数学教育システムとしての可能性を主張することができたばかりでなく, 提案システムの新規性と完成度を示すことができた. また, 提案システムに4次元物体に接触するための判定と4次元物体同士の幾何判定を行うための処理を実装したため, 複数の4次元物体を配置した4次元迷路を構築することができ, より人間の身体性を考慮したインタラクションが実現できた. 本システムは, 視覚と触覚を含めて3次元空間に存在する人間の身体を4次元空間に入れ込むことが可能である. 4次元物体の3次元空間への影は, 3次元空間での人間の位置および姿勢と同調しており, この投影体の動きを通して3次元空間を運動する人間の気配を感じとることができると考えられる. 投影体は,仮想物体であるが, 3次元空間の人間の身体という実体を表現しているといえる. このように本研究課題を通して, 4次元提示コンテンツから4次元空間メディアへ発展させるための着想を得ることができた. 提案システムは, 人間の行動をさりげなく伝え, 心を安心で満たす" 4次元空間アンビエントメディア" への発展が期待できる. 将来的には, 4次元空間アンビエントメディアを社会環境に溶け込ませることで, 人間同士の空間的な出会いにおける新しいコミュニケーションの場の可能性を示し, 人間の感覚的な思考にまで研究領域を広げることを目指したい. また, これまでの研究と本提案が, 環境の変化に順応する生命の活動や実体の機能・性能に, どのような意味や価値を付与し, 人間の認知が形成されるのか追究したい.
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