平成19年度は、要素技術の開発と合わせて、研究を進めるにあたって必要な環境の整備を進めた。具体的には、下記の課題を進めた。 ・実験用ソフトウェアの開発 過去の研究において作成したMPEG-4ベースのストリーミングソフトを元に、実験に必要な環境を整えるための拡張作業を進めた。後日実証実験を行うにあたり、USBカメラを接続するために必要な準備を行った。具体的には、Linux用のxawtvを元に、USBカメラからの映像を取り込み、映像の蓄積が行えるソフトを作成した。また、音声送受信機能の取り付け、双方向通信への対応を行い、1対1の通信が可能なものにした。また、SNMPに基づいて、端末であるPCやネットワークスイッチの帯域および通信トラフィックの監視を行う方法を確認した。これにより、USBカメラからの多対多映像通信が可能となる基盤が整ったことになり、多対多映像通信を前提とした映像・音声ストリームの帯域制御に関する研究が可能となった。 ・PC内・PC間並列化法の開発 MPEG-4を対象にし、近年になり登場した最新アーキテクチャであるマルチコアCPUにおける符号化処理方式の開発を進めた。平成19年度は、画像を領域分割する方法を実装し、さまざまな画像による評価を行った。その結果、AC/DC予測が出来ないことによる符号化効率の低下や、動き補償の効率が低下することが明らかになり、並列化アルゴリズムの改善が必要になることが明らかになった。以後、2種類のアプローチにより並列化アルゴリズムの改善を進める。 ・チップ内並列処理のための結合網用通信回路の設計 チップ内におけるプロセッサ間を結合する結合網に用いるための通信回路の設計を行った。19年度は固定ルーティングアルゴリズムの回路のみとなったが、本年度の研究により、TESH網のルーティングによるネットワーク性能の向上が可能であることが明らかになった。
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