研究概要 |
遠隔添削指導においては, 文書上の添削情報のみを伝達すればよいというのではなく, 指導する側と指導を受ける側の間で, 身振り, 姿勢, 音声, 会話の間などが共有可能な環境が重要である. 本年度は, 添削指導環境の共有を実現するために, 前年度に構築した3つのソフトウェアモジュール(アイコンタクト映像生成モジュール, 添削対象文書のリアルタイム撮影記録モジュール, 添削情報の構造化情報付き記録・提示用モジュール)を組み合わせた統合システムを構築した. この実現のために, まず, 指導者側及び学生側の高品位映像を, ネットワークを通して送受信するシステムを構築し, 指導者と学生の映像を互いに共有することによって臨場感のある遠隔コミュニケーション環境を構築した. さらに, 互いの様子を映像で確認するだけでなく, 添削文書も同時に液晶ペンタブレット上に表示し, 直接記入可能とすることによって, 互いの様子を確認しつつ添削指導が可能なインタフェースを構築した. 添削文書に対する添削方法としては, 一般的な添削方法である, 線の記入やどの部分について議論しているのかを表すポインタ情報だけでなく, 電子的な入力手段の特長を生かして, 添削対象箇所に対するアンダーラインの描画や囲み操作に応じた自動強調表示を行うことによる議論対象の明確化や, 消し線操作による不要文字列の消去機能などの支援機能を追加した. 構築したシステムを実際に使用し, 添削文書の共有だけではなく, 互いの状況を確認しながらの添削指導という環境が, 直接対面ではない遠隔添削の状況でも, 添削しやすく, コミュニケーションが円滑に行え, 自分の意見を相手に伝えやすかったという評価が得られた.
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