研究概要 |
本研究は, 医療安全確保のために必要とされるインシデント情報の部門や職種の間での横断的な共有・提示と速やかなフィードバックが可能な手法の開発と, 病院内での情報流通に関する枠組みの構築を目的としている. 本年度は, 前年度までに開発したシステム, 構築したモデルに関する検証と, その結果得られた必要な機能の開発・検討を行った. 特に, 医療従事者からの評価や意見の活用と, 流通制御という面に重点をおき, どのように情報が伝播するのか, どの程度の粒度が必要なのかについてのモデル化と追加すべき機能の検討を行っている. また, 携帯情報端末を用いた入力, 閲覧などが可能なインシデントレポートの配信システムを構築するために, 医療従事者の業務中の周辺環境や動線などによる要因の把握が必要であるため, 病院施設内における医療従事者や患者の位置・エリア情報の収集手法について検討し, RFIDタグなどの無線機器を用いて外来診察室周辺における情報収集を行い, データの正確性の確認と実験・検証を行った. これらの検討したモデルおよび実験データなどから情報共有が可能なシステム開発を進めるとともに, 病院内で発生する各種データ・システムとの連携手法についても関係部門などとの検討を行った.
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