研究概要 |
本研究の目的は, 人間とロボットなどの人工エージェントとのインタラクション場面において, エージェントが現れるメディアの差異がユーザに与える影響について実験的に検証するものである. 昨年度の研究活動の結果, エージェントの形態が物理的実体をもつロボットの場合に, 被験者はエージェントに対して自然に振る舞う傾向があることが明らかになった. そこで本年度は, ユーザがCGに対してでもロボットに対するのと同様に自然に振る舞うことができるような要因を明らかにすることを目的とした実験を行った. 具体的には, それを実現するための要因として, (1)エージェントに対してキャラクタを強制的に付与すること, (2)ロボットに対してインタラクションを行った後に同じ外見のCGとインタラクションを行うことという二つの要因に着目し, これらの要因がユーザの振る舞いにどのような影響を及ぼしているのかを調査した。実験環境としては昨年度と同様に, エージェントから「しりとりゲーム」をもちかけられた際に, あるタスクに従事しているユーザの行動にどのような影響が現れるかを観察する環境を設定した. 実験の結果, 要因(1)も要因(2)も含む条件では10人中8人がしりとりに応じ, 要因(1)もしくは要因(2)を含む条件では10人中6人がしりとりに応じ, 要因(1)も要因(2)も含まない条件では, 10人中3人しかしりとりに応じないという結果を得ることができた. 以上のことより, 要因(1)と要因(2)はCGとユーザとのインタラクション構築に有効であること理解できた. よって本研究で得られた結果は, ロボット以外の物理的実態が存在しないCGエージェントとユーザとのインタラクションを構築するための基盤技術と成り得ると期待される.
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