研究概要 |
バーチャルリアリティにおける力覚提示(物に触れたり動かしたりする感覚の提示)の新手法として「体肢圧迫による力覚提示法」を提案している.「体肢圧迫による力覚提示法」とは,体肢を空気圧で膨張する袋状の装具で覆い,袋の膨張で体肢を圧迫することにより圧迫部に力覚を提示する方法である.本手法は外力を直接オペレータに作用させる従来の力覚提示法と比べて,大きな力を安全に提示することができる.また,軽量な装具によって力覚を提示するのでウエアラブル化が容易である. 本年度の研究では,まず,複数の被験者に対して手首圧迫感の弁別テストを行い,弁別閾がウエーバーの法則にあてはまることを示した.また,片手の手首を圧迫し,もう片方の手に実際の重量物を吊り下げた状態で左右の重量感を比較する実験行った.実験の結果,0〜6[kPa]の手首圧迫によって得られる重量感の大きさは0〜1000[gf]程度であることを示した.つぎに,PC画面内の仮想物体を,空気圧で手首を圧迫することによって重量感を感じながら手で操作できるシステムを開発した.本システムを用いた実験によって,8種類の重量物体を重量順に並び替えることができることを示した.手首の圧迫圧力範囲を広げることによって,16種類の重量判別が可能となると見込まれる.
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