研究概要 |
昨今,ユビキタスネットワークに関する要素技術の発達により,新たな実時間分散型グループウェアの研究・開発が盛んである.次世代ユビキタスネットワーク社会においては,人の知を共有するだけではなく,人のひらめきや創造性を刺激するなど,知を創発させることが重要となる.本研究は,人の知のうち「気付き」に焦点をあてて,気付きを顕在化させるためのグループウェア技術を開発・評価するものである.具体的応用ドメインは,環境学習としている. 学習者が,重要な学習に取り組んでいた際の体験情報は,効果的な学習教材となることが期待される.このような視点から,2008年度,学習者の重要学習時の体験情報を,マルチモーダルな教材として再構成する技術について検討した.検討には,京都大学フィールド科学教育研究センター上賀茂試験地における調査で取得した基礎データ(移動データ,行動データ,ビデオデータ,会話データなど)を用いた.そして,学習者の体験情報を記録し,それを計算機で自動解析することで,学習体験を高度にアーカイブ化できる技術を開発した. また,本年度は,学習支援のための情報提供に関する研究を行った.そして,空間的分散状況下にある学習者が,アーカイブ化された他者の学習経験などを,仮想空間を介して閲覧できる技術を開発した. 以上の成果は,「実世界知識の顕在化を行う実時間分散型グループウェア」を実現するための研究・開発として重要である.
|