研究概要 |
昨今,ユビキタスネットワークに関する要素技術の発達により,新たな実時間分散型グループウェアの研究・開発が盛んである.次世代ユビキタスネットワーク社会においては,人の知を共有するだけではなく,人のひらめきや創造性を刺激するなど,知を創発させることが重要となる.本研究は,人の知のうち「気付き」に焦点をあてて,気付きを顕在化させるためのグループウェア技術を開発・評価するものである. 最終年度である平成21年度は,平成19,20年度で開発した基礎技術の問題点を洗い出し,改良し,実証実験の実施ヘフェーズを進めた.具体的には,京都大学フィールド科学教育研究センターにおいて,30名以上の一般被験者に対して,提案手法による環境学習プログラムの実証実験を実施した.実証実験では,提案手法が,気付きの顕在化に関して効果があることを,調査した.質問紙,行動解析,センサデータの解析など複合的観点から分析し,提案手法の有効性と更なる可能性を,実証的に確かめた. 一方,「人の移動行動に関連した特徴を,人の状況推定に用いることができる」という基礎知見・基礎技術をこれまでに培ったが,この知見・技術の応用可能性を検討し.その結果,「場所ごとの重要行動の生起確率」などの実世界知識を,ユビキタスセンシング技術に組み込むことで,他者との共同作業の実施に必要な状況を,実世界の人に効果的に気づかせられることを確かめた.すなわち,気付きを顕在化させるためのグループウェア技術の拡大・発展に寄与した.
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