研究概要 |
今まで知識なしで動かしていたアルゴリズムに,知識を組み込むことで効率化する研究を行なった.また,ハードウェアの進歩により扱えるデータの量が増えた利点を活用し,組み込む知識を自動的に獲得させる際に大槻模な計算を行うことで信頼性を追及した.対象としては適度に複雑でかつ成果が期待できる題材として,探索問題の一つである将棋及び囲碁のプログラムを選び,そこで用いられるアルゴリズムと知識の組み合わ方を整理し,そのような知識を自動的に獲得することを目標に研究を行なった. 今年度の成果は,まず将棋において駒の関係が重要な特徴量であることを示し,統計的な手法に基づき有用な評価関数を実際に作成することに成功した.100万以上の重みを自動的に調整したことに意義がある.続いて,自動調整の手法に探索を組みあわせることでより正確な知識を得る手法について研究を行った.従来手法では数ケ月かかっていた計算をこの手法では数日で終わらせることができる.発表時点では実験の規模が十分ではなかったが,現時点ではさらに大きな規模の実験で成果が出ている. 並行して,将棋の終盤や囲碁の攻め合いなどにおいて,一手勝ちを計算可能とするために,詰や必至の概念を一般化した探索の枠組の精緻化を行い,その效率化のために知識が利用であることを示した.最終に,組み込むべき知識の効果的な予測方法を開発した.具体的には,大量の棋譜から求めた評価値毎の勝率を用いることを提案し,実際に、囲碁,将棋,チェスなどで有効性を示した.この手法と前述の学習手法を組みあわせることで知識の獲得をより効果的に行うことができる.また,この手法はゲームに汎用的な方法手法であり,今後の発展が見込まれる.
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