研究概要 |
前年度までに開発した正則化2次識別器に対して2つの拡張を行い,理論的の構築,性質に関する議論,シミュレーションを行った.また,雑音やミスラペリングの多い標本に対して有効な識別器であるRobust boundary learningという枠組みを提案し,多クラス問題へ応用した. 第一に,制約条件をFrobeniusノルム制約からTraceノルム制約に変更したTraceノルム制約型2次識別器を提案し,解を与えた.Frobenius ノルムを導入することにより,解の階数が縮退し,識別時における計算量を削減できることが確認できた.さらに最小2乗近似問題に対して,ランク制約,Frobenius制約,Traceノルム制約を同時に考慮したハイブリッド型2次識別器を開発し,制約付きの2次識別器の族に関して理論的な性質を与えた. 第2に,カーネルトリックを適用したカーネル正則化2次識別器に関して他クラスの特徴抑制と解空間の制約を導入し,それぞれの解を与えた.他クラスの特徴抑制を加えることにより,識別器の独立性を保つたままで高精度の識別を行うことが確認できた.しかしながら,カーネルトリックを適用した状態では問題の大きさがすべての標本数となり,計算量が大きくなるため,解空間の制約を導入した.これにより,元の問題と同じ次元で問題を解くことができる.また,シミュレーション結果より,計算量を増大させずに効率的に他クラスの特徴を抑制することが確認できた.
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