研究概要 |
本年度は,主に以下の3つについて研究を行った. 1. 昨年度までの研究成果である「制約付き近似問題による特徴抽出の族」に関する研究について,論文を作成し,採択された.これは,従来法を含む特徴抽出法を制約付き近似という枠組みにおいて体系化し,その体系から自然に導出される新たな特徴抽出法について,それらの性質や特徴をまとめたものである.これにより,従来法では抽出できない特徴を抽出することができるようになり,パターン識別や脳信号処理において,従来法よりも高い性能を示すシステムを構築することが可能となった. 2. 昨年度までに提案した多チャンネルからの共通信号抽出を拡張し,信号生成モデルに移動平均モデル,混合過程に時空間混合モデルを用いた原信号抽出手法を提案し,国際会議にて発表を行った.本手法は,新合成生モデルと時空間混合を同時に推定するものであり,音響信号処理や脳信号処理への応用が期待できる. 3. 「部分カーネル主成分分析」を提案した.従来法であるカーネル主成分分析は,i)構築時に標本数と同じ大きさの固有値問題を解く必要がある,ii)構築後の各処理において標本数と同じ回数のカーネル関数の評価が必要となる,iii)構築が終わっても標本をすべて記憶する必要がある,などの問題があった.部分カーネル主成分分析は,カーネル主成分分析の基底に標本の部分集合を用い,最適化問題にはすべての標本を用いることで,カーネル主成分分析を近似し,前述の問題を解決する手法である.国際会議2件において,この成果発表を行った.
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