研究概要 |
本年度は,来年度のユーザとエージェントの協調作業によるWebサービス連携を実現するために,エージェント間の協調作業によるWebサービス連携技術の研究を行った。Webサービス連携を行う際,各Webサービスのインタフェースを合わせただけでは,正しい結果を得られない可能性がある。例えば,機械翻訳のWebサービスを連携させる場合,日英翻訳と英独翻訳を直列に接続することで,独語の翻訳結果を取得することができるが,中間の英語に多義語が含まれた場合に,英独翻訳は日本語での本来の意味が分からず異なる翻訳結果(誤った訳語選択)を返すことがある。このような問題を解決するために,各サービスを担当するエージェントを協調させるための協調エージェントを構築し,協調エージェントとサービスエージェント間のプロトコルを開発した。開発したプロトコルでは,各サービスエージェントがどのようにサービスを実行したかをコンテキストとして協調工ージェントに集約し,前後のサービスとの整合性をとった上で,次のサービスエージェントにそのコンテキストを送る。コンテキストを受け取ったサービスエージェントは,そのコンテキストとサービスの入力を基にサービスを実行する。このようにコンテキストを,協調エージェントを介してサービスエージェントに伝搬させていくことで,複合サービスのリクエスタの要求にあった結果を最終的に返すことができる。実際に,開発手法を翻訳サービスの連携に適用することで,訳語選択の誤りの発生を折返し翻訳において削減することに成功している。このようなコンテキストの整合性をエージェントが自律的にとることで,ワークフローの作成者は従来のように制御構造とデータフローのみを意識してWebサービスを連携させることが可能になる。
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