研究概要 |
本年度得られた研究成果は以下の通りである。 l.気導音声・骨導音声の収録、話者識別実験と話者人数増加に対する考察 新たに70名に対して日本語5母音発声時の気導音声と骨導音声を収録し、話者識別実験を行った。話者数が12名では100%の話者識別率を得ることが出来たが、70名では67.6%に低下した。そこで話者数を変化させて詳細に検討したところ、話者数が30名を超えると、気導音のみを用いた場合よりも話者識別率が悪くなることが分かった。このことから今回用いた気導音声と骨導音声を併用した特徴量は,多人数の話者識別に適していないと考えられる。これは話者識別の特徴量として話者の頭頸部の形状・組織等に起因する話者固有の特徴を用いており、似た特徴を持つ話者がいるためであると考えられる。 2.骨導音声の収録法に関する検討 加速度センサを耳と額に設置して、これら2か所で骨導音声を同時に収録し、収録法に関する再検討を行った。その結果、骨導音声の収録には従来から行っている通り、耳で収録するのが適していることが分かった。また、同時に口笛音の収録を行ったところ、額での収録が適していることが分かった。 3.自己聴取音に占める気導音と骨導音の割合の調査・検討 自己聴取音に占める気導音と骨導音の割合を聴取実験によって求めたところ,発声時,発声者本人には気導音と骨導音が同時に聞こえていることを立証することができた。また,気導音の割合は同じ発声者でも母音によって,同じ母音でも発声者によって異なることが分かった。
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