研究概要 |
今後の生活支援ロボットや医療・福祉ロボットは人間と協調・共存して作業を行う能力が求められており, 多種類の作業を実行可能なエンドエフェクタとしてロボットハンドが必要とされている. また, ロボットハンドを用いて汎用的な作業を行う上で, 分布型触覚センサは欠かすことのできないセンサである. 平成20年度においては, まず平成19年度に開発したFPGAを用いた分散知覚計測デバイスをロボットハンドに実装し, ロボットハンドに接触した対象物等に応じて、計測範囲を決定する知能化決定法の開発を行った. 第1の手法として, 全計測点計測後, 最も計測値が高い計測点の近傍のみを計測する計測範囲動的決定法を適用し, 実験によりその有効性を確認した. 第2の手法として, 遺伝的アルゴリズムを用いた計測点動的決定法を開発した. この手法では, 遺伝的アルゴリズムの各個体を計測点, 各世代を1計測周期, 各個体の評価値を計測値と見なすことで, 計測点を動的に決定し, 短時間での計測を可能とした. この手法においても実験により, 手法の有効性を示した. 次に, 指腹部で計測・処理した触覚情報を用いたロボットハンドの触覚フィードバック制御法を開発した. 本手法では, 遺伝的アルゴリズムを用いた計測点動的決定法を用いて, 複数の物体が存在する環境下で目標対象物とそれ以外の物体の認識を行い, 目標対象物の回転操作を行った. 実験ではボルト, ワッシャーに見立てた2枚の円盤を任意の順番に配置し, ロボットハンドが触覚センサの情報からボルトのみを回転できることを示した.
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